自転車部品の自動インサート成形Project Story

三優ライト工業では数々の特殊な成形品を製造しています。今回紹介する自転車部品も特殊なインサート成形であり、その生産工程においてはロボットを用いています。現在ではこの自転車部品だけでなく多くの製品の製造工程においてロボットによる自動化が欠かせないものとなりました。このプロジェクトストーリーでは特殊な自転車部品の製造について振り返りまとめました。

Project Members
  • Project Members 代表取締役 T.M

    代表取締役

    T.M

  • Project Members 製造部 金型課 T.I

    製造部 金型課

    T.I

  • Project Members 製造部 成形課 Y.M

    製造部 成形課

    Y.M

  • Project Members 製造部 成形課 T.I

    製造部 成形課

    T.I

ロボットを使ったインサート成形の実現に向けて

T.M T.M

当時、産業用ロボットを使ったインサート成形は初めての取り組み。T.Iと立ち上げて、Y.Mには量産フェーズを任せたね。 ロボットによる自動化を検討するうえでポイントになったのが「いかに図面の仕様通りに生産するのか」というところ。この自転車部品は金属と樹脂が一体化している板状に近いもの。板状の樹脂が0.8mm。0.4mmの薄い凹みがあり、そこに部品をのせてさらに0.4mmだけ出る状態にする。だから金属は0.4mmしか入っていないということになる。その実現が難しかった。もちろん人の手で調整することもできるけど、至難の業。

T.I T.I

ほんととても大変でした。

T.M T.M

製品を完成させるためには2種類のロボットを組み合わせて実現しようとしたね。最初に導入したロボットはピッキングロボットという役割。もう1台のロボットはピッキングされた部品を金型に挿入する役割のもの。似たような見た目だけど役割は全然違っていてね(笑)。ロボットを導入することで、今まで人がずっと確認しなければならなかった様々な点を省力化できてインサート成形も自動化できた。

トライアンドエラーを繰り返しながら

T.M T.M

立ち上げてY.Mに引き継いでから、成形機のアラームはピーピー鳴ってた?

Y.M Y.M

最初は鳴ってましたね。

T.I T.I

コンマ何ミリの世界ですから、最初はどうしても鳴って異常を検知することも多かったと思います。

T.M T.M

樹脂部品にのせる金属部品が所定の位置に正しく配置されないとダメですもんね。金型側に吸引検知の機工も盛り込んでいるから、うまくはまっているかどうかは確認できます。

T.I T.I

はい。そこがうまくはまっていないと成形機が作動せずアラームが鳴ります。

T.M T.M

ロボットの調整もうまくいったから、人が付きっきりで見とかないといけないという状態はなくなっていったね。

Y.M Y.M

そうですね。

T.M T.M

ロボットを導入している成形工場はほんと少ないと思う。画像認識によるピッキング、金型に部品を配置する際の自動化を高い精度で実現できるのはごく一部の会社。こういうことができるのは我々の自信になっていると思う!

T.I T.I

ロボットを作ってくれる会社さんにも2人で行きましたね。

T.M T.M

求めている挙動ができるロボットを生み出せるのかハラハラドキドキしながら打ち合わせしたね(笑)。画像認識させてピッキングして入れるって一連の工程ができたときはほんと嬉しかった。

T.I T.I

ですね。ロボットメーカーさんも初の試みだったし、我々も我々で未知なる挑戦。いろいろ要望も伝えつつ、こういう場合はどうするかとか仮の状態を想定してやり取りするのが非常に大変でしたね。

T.M T.M

特殊な樹脂を使っているから、それをうまくロボットを使ってインサート成形できたのは大きな収穫だったよね

精度の高いロボットにこだわる背景

T.M T.M

実は最初、別のロボットでなんとかしようとしていたんだよね。だけど製品によってロボットの機工の一部が不安定になって、その都度部品を配置する位置が若干変わってしまう。その機械ではコンマ1、コンマ2の精度を実現することができなかった。

T.I T.I

そうですね。

T.M T.M

機嫌が良い時はうまくいく。例えば周辺温度や様々な条件がバチッとはまった時にできるというレベル。機嫌が悪い時はアラームがピーピー鳴り続いて「T.M、ピーピーピーピー鳴りまくってますよ」と社員に言われて。そういう問題があったからこそ、精度の高いロボットを導入しようって取り組み出した。今ではほぼほぼアラームが鳴らないようになったね。

ロボットを活用した製品量産に向けて

T.M T.M

量産するとなった時も課題続きだったね。

Y.M Y.M

部品を金型に入れる時にどうしてもずれてしまうことが多くありました。そのずれてしまう原因を突き止めるのに結構苦労しましたね。最初はピッキングするところが悪いのかなって思って、汚れを取ってみたり調整したりしてみました。でもなかなかエラーが解消されなくて。次に吸盤部分に原因があるのかなって思って、ローテーションさせたり差し替えてみたりとか。何が原因か分からない中でひとつひとつ手探りで思い当たるところを見ていきました。

T.I T.I

当初導入した時にもこういうエラーが起きるのではないかって予想していた部分もあったんだけど、やっぱり量産に入ってみて直面する問題も多くあるね。

Y.M Y.M

そうですね。この前起きたエラーの原因は吸盤がずれてしまったことによるものでしたね(笑)。吸盤に亀裂が入っていて、部品がずれた状態で持ち上げられていました。その結果エラーになっていました。こういうエラーが起きた時は社内でも共有できるようにしています。原因や対策を共有できる体制にしているので、次同じようなことが起きた時にも対処がしやすく。私も今までこういう産業用ロボットの操作はやったことがなったので非常に勉強になりましたし、操作もできて貴重な体験になっています。

T.M T.M

そうだね。若いみんなが率先してこういう新しいことに挑戦してくれるのは会社としても嬉しいこと!

T.I T.I

そうですね。産業用ロボットを導入することで、こういうこともできる、ああいうこともできると実感しました。技術の幅が広がったのが良かったですね。僕もこの業界長いですけど、産業用ロボットの可能性はこのプロジェクトに参加してなかったら分からなかった。

T.M T.M

ほんとにね。導入することで三優ライト工業としての対応幅も広がったし、若いメンバーが率先して取り組んでいる姿を見ているとこれから先がもっともっと楽しみになる。諦めずにやってきたことが成果になって、ほんと素晴らしいことだと思うね。なので、これからは他の製品にも転用していけるようにまだまだ挑戦し続けたいよね。